ぼーんぐん。ものがたり

日常の暮らしの中で感じる心持ちをつぶやきます。

”空”の理解

こんにちは。ぼーんぐんです。

 

久しぶりにラジオを聴きました。FM大阪です。

 

みなさんはラジオをお聴きになりますか。

 

ラジオはテレビやスマホと異なり、作業の手を止めずに済みますから私は時々楽しんでいます。

 

先ほどまで聞いていたのは、芸人の”笑い飯”哲夫さんによるラジオ番組「サタデーナイト仏教」です。

 

仏教マニアで知られる哲夫さんが、毎回ゲストを招いて、ためになる仏教のお話をしてくれる番組です。

 

今回のゲストは”みうらじゅん”さんでした。

 

みうらさんは中学そして高校と仏教系の学校に進学した仏教ファンだそうで、今回は般若信教の構成する文字についての話が繰り広げられました。

 

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般若信教をみなさんはご存じでしょうか。

 

般若信教とは読誦経典の一つ。

 

さとりに至るための核心部「色即是空・空即是色」を説く散文部がよく知られています。空の理法をさとることが根本思想とされる270文字前後のお経のことです。

 

みうらさんは常々”空”って何なのだろうとおもっていました。

 

”空”を理解できるようにと日常の中にある”空”の文字を探して撮影する習慣を持っていたといいます。

 

ある日、いつも通っていた道沿いの駐車に”空”の看板を見つけました。その看板の文字にはこうあったんです。

 

「空車あり」

 

本来は”空”という言葉は何もない事を表します。なのに駐車場には「空車あり」と掲げられていることに大変違和感を覚えたんです。

 

こういったことから、日常の中から”空”の理解にはたどり着けないと行き詰まりを感じていたんです。

 

ある時、みうらさんは気付きます。自分はなぜ”空”だけに拘っているのだろうと。

 

般若信教270程の文字の”空”以外の言葉も探してみるべきではないかと思ったんです。

 

それ以降、日常生活で探す文字が大幅に増えました。

 

もちろん文字が合えば何でもよいのではありません。主には仏教に関わる使われ方をしているものを探そうと自分ルールを決めて取り組みました。

 

すべての文字を探し出しことは容易ではありません。しかし途中で投げ出すのではなく「探すことも己の修行」だと考えることで継続することが出来たんです。

 

やがて完遂します。数年を要しましたが、全ての文字を揃えることが出来たんです。

 

みうらさんは、全ての写真を般若信教の順に並べてみて通しで見てみる事にしました。

 

しかし改めて全体を通して見てみると、まったく意味が分からないのです。

 

もちろん当たり前のこと。そもそも使い道が違う街中の文字を、個別に撮影したものですから繋がりがなくても仕方がありません。

 

でもそれを見たみうらさんは「これだ」と得心したんです。これがもともと探し求めていた”空”だと気付いたんです。

 

つまり、般若信教を構成するひとつひとつの漢字を街中でとらえたものには全く意味がない。しかしそれこそが”空”ではないかと感じたんです。

 

みうらさんは般若信教の教えに少し近づいたんですね。

 

海外の観光地では、お釈迦さまの涅槃像を見ることが出来ます。

 

観察すると、何処の観光地の涅槃像もアルカイクスマイルを浮かべています。アルカイクスマイルとは口角をわずかに上にむけて微笑んでいるような表情のことです。

 

「口元は笑っている」

 

これはお釈迦様が私たちに「死は怖いものではないよ」と教えるために微笑んでいるといいます。

 

考えてみれば人はもともとこの世に存在していなかったのです。

 

だから死を必要以上に恐れることはないという哲学です。人生や世界、事物の根源のあり方を教えてくれているんですね。

 

動物は自らの死をその直前に感覚でとらえるのかもしれませんが、人は必ず死ぬことがわかって生きています。

 

人は死ぬことがわかっても生きていくのです。

 

人が生きていくことは、それ自体も修行なのではないかと考えると「じゃあ楽しんでいこうや」という気持ちになってきます。

 

般若信教や涅槃像のアルカイクスマイルは、私たちにそのことを教えてくれているのですね。

 

みなさんは如何お考えでしょうか。